旭硝子株式会社 板ガラスカンパニー
6支店を廃止し、直行直帰型の営業スタイルを構築
プロフィール
お客様のニーズ
国内における市場規模が6割に減少
導入当時、板ガラス業界では日米構造協議といった外圧の高まりやバブル崩壊等のため10年前に比べると、数量ダウン・価格ダウンにより日本の国内市場が6掛ぐらいになっているという厳しい状況がありました。このため既存の体制では事業の継続も難しく、何らかの形で市場規模に合わせた新しい体制を作らなければなりませんでした。具体的には6支店120名程度いた営業マンの組織を、営業マン30名プラスバックオフィスの営業センターという体制にしなければならない切迫した状況でした。
人員を削減する一方で営業は高度化、多様化しなければならない
一方で、今のガラスは昔の「単板」と呼ばれていたものから「複層ガラス」「合せガラス」といった機能性を重視した製品のウェイトが増し、一方ビルの構造や風圧によりガラスの強度を検討するなど、お客様に技術的な説明や提案をしなければならず、営業は非常に高度な機能を期待されるようになりました。商品知識はもちろんのこと、実に多様な仕事をこなさなければなりません。つまり、人員を削減しながら一方で高度な提案型営業体制を作るという二律背反的な課題に取り組まなければなりませんでした。
ソリューション
移動時間を減らすことで商談時間を最大化する
当時営業の行動内容、職務内容を分析したところ、支店でのオフィスワークが3分の1、お客様のところで実際の商談をしているのが3分の1、移動やその他の時間が3分の1だということがわかりました。
まず手をつけたのが営業担当者のオフィスワークを削減し、併せて移動時間を減らし商談時間を増やすことです。そのためにオフィスの机に縛られなくても仕事ができる環境としてモバイル型の営業体制を導入しようということになりました。具体的には、モバイルパソコンを1人1人に持たせて取引先に直行直帰する営業体制の構築です。システム的には1日に少なくとも1度は、顧客情報、営業情報、販売実績、掲示情報など更新された最新データをサーバーからダウンロードするとともに、日々の商談情報をサーバーへアップする仕組みの実現です。
組織改革を行い日本中の市場を回る営業をバックアップ
同時に組織改革も行いました。全国のお客様からのお問合わせ、見積依頼、そのようなものを集中処理するバックオフィス(営業センター)を設立しました。営業が、上司や営業センターへ向かって情報を発信すると、新しい指示あるいは回答という形で自分のパソコンに入ってきます。これで日本中どこにいても営業が必要とする業務と情報を得ることができるようにしました。
また、これは判断や意志決定のスピードの向上ももたらしました。たとえば従来は非常に重要な意思決定をするのに6階層ぐらいあったのですが、それが現在では3階層になっています。極端なことを言えば、システムを見ればすべての状況がわかり、そこで判断すれば済んでしまうわけです。さらに、支店長を中心に支店単位で施策を立案していたものが、全国の動きを見ながら、現場の状況・顧客の生の声を確認し、タイムリーな施策が全国的な視野で立案できるとともに、重複施策の無駄を削減することもできました。
導入効果
全国の支店を廃止し、バックオフィスとモバイル化で5億円程度のコスト削減
モバイル型SFAの導入により営業部門の組織は大幅に変革され、6ヶ所の支店を廃止するとともに、営業マンがお客様のところに直行直帰するようになりました。バックオフィスの分も含め50人弱の削減と、駅前の支店を廃止しサイライト化することにより、概算で5億円程度のコスト削減になりました。
面談時間が30%から45%にアップし、行動意識に変化も
最終的な目標である面談時間の極大化は、当初30%だった面談時間が現状では45%ぐらいまで上がっています。営業マンは徹底してお客様に密着し深いニーズを探るとともに企画提案を実施するコンサルティング型の業務へと集中し、営業の質や効率を上げています。また、従来は上司の指示を受けて活動するという意識でしたが、モバイルにより地域の責任者という意識が芽生え、自ら問題解決を探し出し、行動の優先順位を決めるようにもなりました。
活用の秘訣
評価基準の透明度を高める
従来は会社の中で上司がそばにいて、「あいつはよくやっている」とか「こういう業績を上げた」ということで評価できたのですが、モバイルになると、上司が常に見ていることはできません。そのため評価基準についても改革が必要でした。そこでお客様の評価とか評判、あるいはどのような提案をさせていただいているのかということを点数化するなど、透明性を強く意識したものに変更しました。これはこのような働きかたをしている営業にとっては必要不可欠な改革であると思います。
将来の展望
メンタルヘルスと教育について、さらなる探究
コスト削減という目的でスタートしたモバイル型SFAですが、導入時に重視したことがあります。それは、きちんと営業の行動分析をして、誰が、どのような仕事を、どのようにして、何を解決すべきなのか、明確にして推進したことです。そうしないと使用者もどこがいいのかピンと来ないからです。そして現在、運用後に感じている課題が2つあります。1つはメンタルヘルスの問題です。これはモバイルで行きっぱなしになればなるほど、1人でずっと行動するということになりますので、まかり違うと疎外感を感じる危険性が生じてしまいます。
もう1つは、教育の問題です。本当は若手の場合は先輩に付いていろいろ見聞きして覚えていく期間が必要なはずですが、それがモバイルという仕組みの中では十分にできるのかという課題です。これら2つの課題についても今後探究していきモバイルの営業体制を推進していきたいと考えています。
掲載月:2004年12月
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